お白湯の効用

お白湯を飲んで痩せようというのが、今流行っているようです。
ヨーガやアーユルヴェーダを実践している人の間では、お白湯は体に大変よい飲み物として知られています。
そもそもお白湯を飲むというのは、痩せるとか、きれいになるとかいうのが目的の話ではなく、体を整え、良い状態に保つための健康法なのです。
で、お白湯って何?っていう話なんですが、お若い方は「お白湯」ってあまり飲まないかもしれませんね。
お白湯は、「おさゆ」と読みます。お水を沸かしてお湯にしたものです。
そうなんです。ただのお湯です。
しかしこれがなかなかたいしたもので、体の中の毒素や余分な栄養素を流すのを助ける働きがあるというのです。
もちろん、最新の電気ポットで1分足らずで沸かしたものも一般的にはお白湯と呼ばれますが、健康に良い特別なお白湯にはあたりません。
今日ここでは、アーユルヴェーダ式にきちんと沸かして作ったお白湯のことを「お白湯」と呼ぶことにします。
では、おうちでゆっくりこれをお読みいただいている方のために、先にお白湯の作り方をご紹介しましょう。
お白湯を沸かしている間に、この後の内容をお読みいただけば、「ほんなら飲んでみよう」と思われたらすぐに飲めるというわけです。
 
用意するもの きれいな水(ご自宅の水道水。浄水器を通したものはなおよい。)
       やかん
ガスコンロ(お台所の普通のガスコンロ。電磁調理器は避ける。)
タイマー(危険防止のため。)
つくりかた  やかんに水を入れ、換気扇をまわし、強火にかけます。
       沸騰したら蓋を取り、湯気が上がるようにします。
       大きな泡がぶくぶく立っているくらいの火加減にします。
       そのまま10~15分、沸かし続けます。
       カップに注ぎ、残りは保温ポットに入れておきます。
飲みやすい温度に冷まし、すするように少しずついただきます。
 
まあ、そうですね。わかすだけです。そんなたいそうな話ではありません。
ただここで問題は、結構強い火で沸かし続けること。
ガス代や時間的なことを考えれば、カップ一杯ずつ沸かすよりも、少し多めに沸かして、ガラスやステンレスの保温ポットに入れて、その日一日楽しむといいと思います。
 
では、お白湯を沸かそうと思う方はここでコンロにやかんをかけてください。
 
次に、お白湯の効用です。
先ほど書きましたように、余分な栄養素や毒素を流す助けをするわけですが、多くの方が、「水やったらあかんの?」と思われますよね。
一時期から水をたくさん飲む健康法や美容法が謳われ、実践されている方も多いかもしれません。そのことそのものは正しいのかもしれません。水をたくさん飲むことで、体の毒素や余分な栄養素を流すというのは、理にかなっていると思います。
しかし、水というのは体温より低く、体を冷やす力が大きいのです。
それを一日に2リットルも3リットルも飲めば、体はどんどん冷えていいきます。
また、水から酸素や微量元素を摂りたいと思っておられる方もいらっしゃるとは思いますが、正しい食生活と丁寧な呼吸で、それらの問題は解消されると思います。
それでもお水を、と思われる方は、毎日お飲みになるお水の一部をお白湯にされるという方法もありますし、ひとつの情報としてお白湯のことを知っていただくだけでもいいかと思います。続きをお読みいただければ幸いです。
さて、ではなぜお白湯が良いのかというと、先述のように、毒素や余分な栄養素を流す助けになるということ。そして次に、体を温めるということです。
体を温めて内臓の働きを助け、消化力を高めます。消化力が高いと、食べたものをきちんと自分の体内に取り込み、要らないものはきちんと排泄するという本来の体の力を取り戻すことができます。
さらにもう一つは、体のバランスを整える力が高いということです。
お白湯をつくるときに、新鮮な水を換気扇を回して強めの火で沸かし続けるということが大切です。これで、お白湯を作る過程で、「風」「火」「水」の三つの要素が満遍なく入ることになります。
この「風」「火」「水」の三つの要素は、アーユルヴェーダで考えられている「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という三つの性質にあたります。
アーユルヴェーダでは、さまざまなことがこの三つの性質の働きを持つと考えられています。わたくしたちの体質も、これらの性質を持っているとされ、ヴァータ体質、ピッタ体質、カパ体質に大別されます。
本来アーユルヴェーダに従った健康法を実践するならば、この体質をきちんと知らなければならないのですが、お白湯はこれら三つの性質を満遍なく含む飲み物ですので、どんな体質の人も安心して飲むことができます。
お白湯を飲み続けることで、知らず知らずのうちに、本来の体のバランスを取り戻し、健康になってゆくということなのです。
 
さて次は、そのお白湯の効用を最大限に引き出す飲み方です。
まず、どんなときにも「すするようにゆっくり飲む」ということが大切です。
飲みやすい温度にさめていても、決してがぶがぶと飲まないように。目安としては、一回に100~150ccのお白湯を10分~15分かけて飲む感じです。
その飲み方で、一日に700~800ccを目安に飲みます。あまりたくさん飲むと、必要な栄養素まで流してしまい、体のバランスを崩すそうです。ご注意を。
では、飲むタイミングです。
     朝一番 … 洗面を済ませたらお白湯タイムです。体を温め、排泄を促します。
     食事中 … 食事中にほんの少しずつすすります。消化を助けます。
     食間に … 体が重く感じられる人は20~30分おきに少しずつすすります。
体調の良い人は、朝一番と食事中だけでよいそうで、体調の良くないときや、ダイエット中の人は、食間にも飲むと良いといわれています。つまり、ダイエット目的で飲み始めたとしても、ダイエット成功後もお白湯の習慣は続けると良いということですね。
 
さて、水を沸かして飲むだけというとんでもなく簡単な健康法なんですが、やっぱり注意しておかなければならないことはあります。
飲むべき分量や回数については前述のとおりです。1週間も続ければ、体の調子は必ず変わります。しかし、中には体の悪いところが表面化して、だるくなったりする人もいるということです。もちろん表面化した後にそれが洗い流されるのですから、もうしばらく頑張って飲んでみられるといいと思います。いずれにしても、生活の中身はほとんど変えずに、ただのお湯を飲むだけですから、どうってことはありません。
しかし、お白湯を飲むというのはあくまで健康を維持するための生活の工夫であり、お白湯は薬でもなければ医療でもありません。本当に体調の悪いときは、しかるべき医療機関にご相談ください。
では、そのほかの注意点です。
     再沸騰 … お白湯の持つバランスが崩れます。新鮮な水で最初から作ります。
     保温  … ポットでの保温はOK。お白湯の完全な状態を保ちます。
     水   … 水道水を用います。ミネラルウォーターならば、近い地域のものを。
それほどむずかしいものはありません。やはり、気軽に続けられそうですね。
 
ところで、この方法でお白湯を飲んでもなかなか体調が良くならない場合は、まずお医者様に見ていただくことが大切だと思います。
健康だと思っていても、大きな病気が隠れているかもしれません。
また、ダイエット目的で始めたのになかなか痩せない場合、食事内容を見直してみてください。あまりたくさん食べていたのでは、お白湯を飲んでも効果が出ないのは当たり前です。もちろんお白湯を飲む習慣を長く続けることで、だんだん食事の量や内容が変わってきますが、意識していると効果は出やすいと思います。
しかしそれでも痩せない場合は、それがあなたのベストな状態かもしれません。
人間、痩せていればいいというものではありません。
健康で楽しい生活を送ることができているのであれば、問題はないはずです。
もう一度ご自身の体をきちんと見つめてみましょう。
 
さて、いかがでしょうか。
お白湯を飲むというのは本当に簡単で、誰にでもできる方法だと思います。
ご興味のある方は、ぜひ実践してみてくださいませ。
そして、お白湯を飲みながらご自分の体の状態、心の状態を見直す余裕が持てるようになったら、そのときはすでに健康でうつくしい心身の状態をご自身の標準として確保できているのではないかと思います。
 
参考:「白湯毒出し健康法」 蓮村誠 著 PHP文庫 2010年2月17日第1版