運命の人

「運命の人」って、何やろ。

わたしの友人が、お兄さんの友達の一人と初めて出会ったときに「わたし、この人と結婚する。」と思ったそうである。根拠はないらしいが、そう思ったらしい。

その人が今のパートナーだという。



そんな話を聞くと、「すげぇ」と思う。

わたくしはそんなの思ったことがない。

そんなふうに思う相手が「運命の人」なんだろうか。

と、思いたいが、実はわたくしはそうは思っていない。



「赤い糸」なんて、昔はよく言ったものだし、今でも言ってたりする。

そんなのがあるかもしれないし、ないかもしれない。

「わたしの赤い糸、切れてるんちゃう?」
と笑う女の子もいるけれど、それなら、切れた赤い糸を持って、結んでくれる端を持った人を探すという考えはどうだろう。

最初からつながってるなんて、不自由なことこの上ない。

自由な糸の先を持って、自分で探すほうが、きっと恋も結婚も楽しい。


冒頭に書いた友人は、家族みんながとても仲良しだ。
「赤い糸でつながった人」と結ばれたからだろうか。

わたくしはそうは思わない。

なぜなら、彼女もパートナーもとても働き者で、子どもたちを一所懸命育て、家族のかかわりをとても大切にしている。
ひょっとしたら途中で切れる可能性もある赤い糸を、ロープのようになるまで、太く強固に二人がかりで縒りあげてきたのだ。
彼女の幸せは、赤い糸が運んだのではなく、自分たちで作り上げたのだ。


「出会いかた」はいろいろある。

「雷に打たれたようだった。」なんていう人もあれば、「気がついたらそこにいた。」という人もいる。

しかし、出会うだけでは何も起こらない。出会ってからどうするかが大切だと思う。

いや、「どうしたいか」かもしれない。
自分が本当にどうしたいかということを明確に描けば、必ずそのように生きられる。

そう、自分がどうしたいか。

それが赤い糸をつないでゆくたった一つの方法なのではないかと思う。