2016年6月新月

6月5日12時01分、双児宮14度53分の新月です。
双児宮ですから、兄弟やごく身近な仲間との関係、通信交通、様々な分野の基礎的な知識に関係したことにスポットが当たりそうですが、ほぼ正午の新月で、太陽と月とともに金星が、MCの上に乗っていて、さらにその真向い、ICのあたりには人馬宮土星がいます。
ごく身近な人間関係や、物事の動きにスポットが当たるというものの、それらの動きが実際に見えるのは、あなたのライフワークともいうべき仕事や趣味や勉強の領域だと思われます。
わたくし個人のことで恐縮ですが、我が家の玄関には、「下学上達」と書いた色紙を飾っています。論語の言葉です。
わたくしの好きな言葉で、「身近なことから学んで、深遠な道理に至る」というような意味があります。
わたくしはお習字をしていますが、毎日コツコツと初歩的な練習をしたり、言葉や字の基本について勉強したりすることが、やがて高度な技術や深い思想に至るという気持ちで、この色紙を玄関に飾っているのです。
実際、どんなに優れた技術も素晴らしい思想も、必ずその土台には、それを構成する基礎的な知識や基本の技術が隠されています。
なんでもある程度の技術が上がると基礎基本というのは軽視しがちですが、その道を究めた人、一流の人こそ、日々の基本練習は怠らないものです。一時期は新しい技術の習得にばかり夢中になって基本を怠るようなことがあったとしても、レベルが上がるにつれて基本の大切さを知るようになるのです。
今回の新月では、そのように身近で基本的な事柄が、あなたの職業や重要な学びの場でものを言うことになりそうです。
あなたが今携わっている重要なお仕事、目指している道、そういった物事の基本をもう一度見つめなおしてみましょう。そこからまた、あなたのステップアップを図ることができそうです。
あるいは、黙っていてもそれが浮き彫りになるということかもしれません。おろそかにしてきた人は化けの皮が剥がれるような思いになるのですが、一所懸命積み上げてきた人はその努力が実るような評価を得られるでしょう。
さて、そのほかの様子を見ると、処女宮木星ドラゴンヘッドアセンダント近く、双魚宮海王星がディセンダント近くでオポジションです。これらがそれぞれ新月に対してスクエアになって、折り紙の見本のようなグランドクロスに仕上がっています。
絡んでいるのが木星海王星ですから、かなり物事の動きが大きくなるように思われます。
前述の「基礎・基本」ということから考えると、思ったよりもそういったことによる評価が大きく出るというふうにもとらえられますし、そこへ立ち返ることの重要性がより一層増していくというふうにもとらえられます。
このグランドクロスは柔軟宮です。また、海王星木星のように拡大を意味する星に、土星のように抑制を意味する星がスクエアになっています。
物事は、まるきり反対の方向にあちらこちらと大揺れに揺れるとみてもいいでしょう。
また、これまで目標をもって一所懸命取り組んでこられた方が、今まで進んできた道とは全く違う方向へ進むようになるとも考えられます。
いずれにせよこの転換は、あなたの持っている生き方の基本と、その上に育て上げられたあなた自身の高い精神性をより一層生かすことになりそうです。
さてさらに、その太陽・新月・金星と、磨羯宮の冥王星がインコンジャクト。この冥王星木星ドラゴンヘッドと、金牛宮にある水星がそれぞれトラインで、グランドトラインになっています。
グランドトラインのほうはやや緩めですので、表に出やすいのはグランドクロスの影響のほうかもしれませんけれど、それでもグランドクロスとグランドトラインが一緒にできるなんて、まぁ、なんて派手なんでしょう。
このトラインは、地のエレメントのグランドトラインです。より安定的で、長期間持続する物事を作り上げます。この時期に志したことは、これから長くあなたの目標として、その役割を担うことでしょう。
大きく転換してきた事柄なら、より一層そうかもしれません。あるいはこのグランドトラインは水星が他の星に対してルーズな位置にあるため、頭で考えたときには少し決心が鈍るようなことになるかもしれません。しかし、妙な理屈で物事を考えるより自然のエネルギーに任せていくほうが、よりあなたらしい生き方に結びつくと思います。
また、それらとは別に、木星ドラゴンヘッドは、白羊宮の天王星とバイクインタイルで、天蝎宮の火星とクインタイル。したがって天王星と火星は、インコンジャクトですね。
あなたが前に進むためのエネルギーは、どこからやってくるかわかりません。身近な人やお年寄りとの交流、日々の雑談や昔話、あるいは何か大切なものを失った喪失感、何があなたを支えてくれるのでしょうか。あるいはあなたがそういったものを通じて誰かを支えるのかもしれません。
どんな場所にいても、どんな人と接していても、わたくしたちは誰かの何かの力になることができます。
意図的にそうしなくても、生きているというだけで必ず誰かの力になっています。
ただ、生きるだけです。
「生きる」というのは人生の基本、絶対条件です。
すべてはこの上に成り立ちます。
いえ、「生きる」以外はおまけのようなものかもしれません。
今日も長々と書いてきましたが、ひょっとしたら、この新月はそれに気づくような新月になるのかもしれません。
心が大揺れに揺れたときほど、そのことに目を向けてみてください。
立ち止まるだけでいいと思います。
どうか、よい新月をお迎えくださいませ。