2015年5月新月
特にこの新月は９室にあります。学問や宗教や深遠な思想を表す場所です。
おなじ９室には火星と水星がいて、これらの星は双児宮に位置します。
現実的に役立つこと、それでもただ単なる生活の知恵ではなく、生きていくための指標、人生の目標に近づくために役立つ物事を身につけるときが来たのではないでしょうか。
これらの星は、１０室にいる巨蟹宮の金星と角度を作っています。
将来向かっていくべき物事の中でもより楽しいことや喜ばしいことに関連した事柄が、調和的ですし、新しい始まりは、そういった事柄に背中を押されて動くような感じもします。
夢をかなえるために、より高度な技術や思想を手に入れるために、わたくしたちは修行を続けなければなりません。
論語の中に「下学上達」という言葉があります。
身近なことから勉強して、深遠な思想に至るという意味です。
わたくしはこの言葉が大好きで、色紙に書いて玄関に飾ってあります。
書道教室をしている関係上、基礎練習の積み重ねによって、より素晴らしい作品を書くという日々のお稽古の在り方を示すつもりでもあります。
この３室の土星と９室の火星の組み合わせは、まさしくこの言葉のようです。
３室は初等教育や基礎学力に関する事柄が示される場合があります。
しかし、土星は厳しい教師と言われることもあります。たくさんの宿題をこなしているうちに、知らず知らずのうちに学力が上がったという経験をお持ちの方も多いと思います。ちょうど、今の土星はその時たくさんの宿題を出してくださった先生のような存在です。
毎日の宿題は、最初は基礎的な内容の繰り返しですが、日を追うにしたがってその内容のレベルが上がり、いつしか大変難しくなってゆくでしょう。
その基礎練習の積み重ねの向こうに見えるのが、火星のいる９室です。
こちらの守備範囲は、高等教育。
基礎的な内容を卒業して、より高度なことを学びつつ、自分でも研究していくレベルになります。
教育機関でいえば、高校以上でしょうか。
いや、現代では大学以上のようにも思われますが。
火星は意欲と情熱の星。戦いの星でもあります。基礎的な内容をみっちりたたきこまれたわたくしたちは、さらに上を目指し、より高度な内容に意欲を示すという図式です。
より高く、より深く、技術だけではなく、同時にその奥底に潜む精神性にも磨きをかけるのが、ここでの火星の仕事です。
さらに火星の位置する双児宮の性質から考えると、精神と技術といった二面的な事柄に加え、ここで深めた学びを身近な人々に伝えてゆくということも考えられます。
土星から火星への学びの道は、決してまっすぐなものではなく、時として驚くような寄り道を余儀なくされることもあるようです。
そのときは、いらないものを捨て、新しいものを取り入れ、場合によっては心から大切にしているものを、さらにそれを大切にしている別の誰かに譲り渡す、または譲り渡されるという経験を経ることになるかもしれません。
もっと激しい場合は、何もかもを捨てざるを得なくなり、その結果、新しく生まれ変わって目標に向かうということもあるかもしれません。
この時の冥王星は４室です。４室は、家庭や母親に関することがよくわかるところです。また、家庭ではなくても、自分自身が基盤としている場所を表すこともあります。
現在冥王星は磨羯宮にありますから、その基盤に大きな権力や社会的な力が加わっているということもあるでしょう。また、この冥王星は双児宮の水星、獅子宮の木星と、それぞれインコンジャクトで水星木星がセクスタイルですから、この三つの星でヨードになります。木星は１１室で、友人関係を示す場所でもありますから、本来ならあなたの学びを友人たちが応援してくれるということになるのでしょうが、同時にあなたの基盤になる場所、家庭や仕事の本拠地の状況がそこに加わることで、あなたの推進力が、一見鈍るように見えます。
前に進む、上に上がる、そういったことはとてもいいことのように思われるのですが、どういうわけかあなたの決意を鈍らせるのは、あなたのごく身近にいる人々です。
より高みを目指すあなたは、そんな家族や職場の人々と折り合いをつけ、きちんと話をしていく必要があると思われます。
どうか、そこを面倒くさがらず、丁寧に行ってみてください。あなたが進む道は、より進みやすくなるでしょう。
目標のために家族や現在の仕事を捨てるのではなく、目標のために、より一層家族や今の仕事を大切にしてみてください。一見遠回りのように見えますが、急がば回れといいます。どうか焦らず、きちんと進むようにしてみてくださいね。そのように動くことで、さらに素晴らしいスタートが切れるのではないかと思います。
どうか、良い新月をお迎えくださいませ。
