2013年11月 新月

11月3日21時51分、天蝎宮11度16分、日蝕を伴う新月です。
ドラゴンテイルが同じ天蝎宮の7度付近にありますので、このように「蝕」の状態になります。
この時、土星天蝎宮13度、逆行中の水星が天蝎宮7度ですから、なかなか見事なさそり祭のできあがりです。
さらに双魚宮には海王星巨蟹宮には木星と、水のサインの大三角形ができ上がっています。大変に水の力が強く、大きく、すべてを飲み込んで、収束に導く力を持っています。
本来なら新月は始まりの意味を持ちます。しかし今回の新月については、何かと状況が収束に向かう、あるいは一旦棚上げになったり、「臭いものには蓋」とばかりに隠されてしまったりと、どうも華々しいスタートからは縁遠いように見えます。
しかし、物事の始まりは何かの終わりとともにやってくることもありますし、あるいは、今はとてもスタートに見えない何かの後片付けが、次の始まりの土台作りになっていたりもします。
この水のサインの作る三角形は、関わっている星が、土星の外の遠い星が多いため、はっきりとその影響の見えてくるのがかなり後になるということがいえるため、今の状況を早急に良い悪いと決め付けることはできないでしょう。 
さらにこの三角形、度数でいえばかなり緩い結び付きになるのですが、新月時にこれらの星のいるハウスは、天蝎宮のマジョリティーが4室、海王星が8室、木星が12室と、どれもこれも、表面にはっきり出たり、衆目を集めたりする種類のものではありません。
静かに潜航しながら、必ず外側にその影響を与える潜在意識のような力を持ちます。
それだけにこれらの影響が目に見えて起こるようになる時は、これまでの状況から考えて思いも寄らなかったような状況になっていることがあります。今年は一年を通じてこれらの星の影響が強かったのですが、今回の蝕のこのハウスとの関係は、今後目に見えて動く物事の、見えない土台になる可能性があると考えられます。
 従いまして、今取り組んでいること、これから迎える課題、それらがどんなに厳しいものであっても、この蝕を取り巻く水のサインの三角形の上に成り立つものとして、日々の小さな努力を積み重ねることで、現在の星の影響を最大限良い結果に結び付けることができると思います。
この大きな三角形を、今後の安定の祝福とするか、膠着の呪いとするかは、すべて行動する各自の問題です。
「いいことがありますか?」
「悪いことが起こるのですか?」
などと尋ねるくらいなら、今目の前にある仕事を、どんな小さなものでもいいから確実に片付けるほうが得策だということです。
大変厳しいことを書くようですが、結局はそういうことなのです。
つまり、なんだって自分の力で挽回できるということです。
とりあえず頑張ってみましょう。
結果は必ず付いてきます。

さて、占星術の心得のある方は、他にもこの新月のスタート感の鈍さを作っている角度があるのをご存知ですね。
順を追って、書き出してみましょう。
まず、天蝎宮のマジョリティーは、水のサインの三角形の一角を成していますが、同時に磨羯宮の冥王星処女宮の火星とともに、小三角を形成してもいます。これはまたとても堅実で、着実な歩みが足の裏から感じられるような星の配置です。
「いいこと」「ラッキーなこと」が、一発逆転のさよなら満塁ホームランのようなものだと思っていらっしゃる方には、とても感じ取れないような小さな成果が、この新月からしばらくの間に感じられることでしょう。どんなに注意したって、時計の短針の動きは目で確認することはできません。しかし、かならず進んでいるということは皆さんご存知でしょう。
その短針が動いている実感が、感じ取れる人には感じ取れるということです。もちろん感じ取れなくてもいいのです。実感が伴えば面白いというだけで、実感がなくても進歩していることに変わりはないわけですから。
さて、この小三角の底角に当たる処女宮の火星と、頂点の角の天蝎宮のマジョリティーセクスタイル。そして、共に白羊宮の天王星とインコンジャクト。つまり、ヨードです。
このあたりなかなかタイトで、お手元にチャートのある方は、水のサインの緩い三角形よりは、こちらのほうが目に付くという方も多いかと存じます。
これがまた、潜在する水のエネルギーを強く押し止める力になっているのではないかと思われます。
しかしそれは川の淀みのように動きのないものではなく、本来なら動いているものを押し止めているダムのような力です。
それは時が来れば放水して、貯まったエネルギーを吐き出す能力のあるものです。その吐き出す力は、このヨードの根の天王星と、磨羯宮の冥王星とのスクエア。
今あれこれと起こっている不具合は、この放水と同じです。それぞれの不具合を丁寧に、きちんと修正することで、大きな問題に発展せずに済んでいることが多いでしょう。
それでも追いつかず、ダムの決壊という事態になる可能性もないわけではありませんが、その時は事が大きすぎて、個人の問題におさまる種類のものではないといえます。
ということは、そんなものは心配しても意味がないということです。
無責任な発言に聞こえるかもしれません。しかし、ここでわたくし一人が何かの心配をしたところで、起こるものは起こるし、起こらないものは起こらないのです。
ビクビクしながら過ごすより、それなりの準備をしたうえで、毎日の生活を楽しむほうが重要なのです。

さてさて、今日は厳しいこと続きですね。
「金星は?愛とお金は?」
なんていう声が聞こえてきそうですね。
お待たせしました。金星は人馬宮、6室、新月(天蝎宮のマジョリティー)とはセミスクエアです。
働きましょう。ひたすら奉仕の気持ちを忘れずに。しかし、誇りをもって。
誰かのために、何かのために、一所懸命頑張っているあなた、あなたこそ縁の下の力持ちかもしれません。
今抜けたら、エライことですよ。しかし、隷属してはいけません。
誇りをもって、みんなを助けましょう。感謝なんて期待する必要はありません。
あなたの存在そのものが祝福なのです。
ひょっとしたら今はつれない恋人も、この後あなたにひざまずいて何かを請うことになるかもしれません。
その時は、どうぞお好きなように(笑)

今日は厳しいことばかり書きました。実際、厳しい状態になる可能性もあります。
しかし、あなたの運命のすべてはあなたの手のうちにあるのです。
どうか、遠い未来の夢を捨てないでください。
とてもスタートには見えないこの新月の暗闇ですが、顔をあげて、敢然と前に進みましょう。