2012年6月 「オーム(AUM)」は宇宙の聖音

* 新月情報
6月20日0時03分、双児宮28度43分の新月です。
金星と木星双魚宮にあり、華やかなこと限りなしですが、その華やかな双児宮の出口きわきわの新月です。
金星と木星はとても近い位置にあり、双魚宮海王星とスクエア、白羊宮の天王星とはセクスタイルという角度です。より細かく言えば、海王星木星がスクエア、天王星と金星がセクスタイルということになり、海王星天王星はというと、セミクインタイルということになります。この海王星木星のスクエアは、人馬宮ドラゴンヘッドとそれぞれスクエア、ポジションとなるため、T-スクエアが形成されます。そして木星と金星の間辺りにドラゴンテイルが入るため、このT-スクエアには金星も絡むことになります。また金星が磨羯宮の冥王星とインコンジャクト、さらにこの冥王星天王星とスクエア、天王星ドラゴンヘッドとトラインです。
人と人とのつながりとか、新しく興味を持つこととか、そういった楽しい事柄をはじめるのにとてもいい時期ではあるのですが、ちょっと一筋縄ではいかないかもしれません。
なんでもサクサク進むような始まりではなく、自分の思いとは別の力が働き、一存では決めかねる場合や、自分の意志とは全く関係なく物事が進んだり、あるいは止まったりと、何とも自由になりづらい感じがするのです。
しかし、もし何かのストップがかかったり、真っ直ぐ進みたいのにくねくね道に入ってしまったり、そんなことがあったなら、それは何かのサインだと思ってくださいませ。
ここに強力なアスペクトで絡んでいる星は、冥王星だったり海王星だったり、天王星だったり、とても遠いところからわたくしたちを応援してくれる星たちです。決してちょっとしたいたずらや思い付きでストップをかけているのではありません。
手放しでふわふわと進もうとする人にはしっかりとした緊張感を、本当の目的を忘れて枝葉にばかり目が行っている人には方向修正をもたらしてくれるような星の配置なのです。
わたくしたちが本当に目を向けなければならないのは何でしょうか。地に足を着けてしっかりと生活するために重んじなければならないのはどんなことでしょうか。
それを知るためこの双児宮新月に、ごく身近な人々に思いをはせ、その人々の思いを汲んでみてはいかがでしょうか。そうすることによって、静かに道が開けてゆくのではないかとわたくしは思うのです。
人間は一人では生きてゆくことができません。自分個人で頑張ることも大切ですが、周りの人々や、自分を育んでくれる人々への感謝と愛がなければ、多くの物事は成立しませんよね。今回新月の起こる双児宮は、自分以外の身近な人とのつながりを生み出してゆく場所です。その支配星は水星ですが、水星はこの日巨蟹宮にいて、天秤宮土星とスクエア、処女宮の火星とセクスタイルをつくっています。また、このとき火星と土星セミセクスタイルです。
じっくりと時間をかけて、大切な人への思いを伝えてください。思いが深ければ深いほど、熱ければ熱いほど、それは時間とともに伝わってゆくのです。
大切な人、特にごくごく身近なご家族をはじめ、今につながるご先祖様への感謝の灯を、今一度胸にともし、これからも大切にあたためてみてはいかがでしょうか、
 
* 「オーム(AUM)」は宇宙の聖音
今回は、双子座きわきわの新月ですね。
最終度数に近いことから、この新月は、これまでの事柄を総括して、あるいはすっかり片付けて次に向かおうとする最後のステップの始まりという気がします。
ゲームで言えば、最後のステージ、これを攻略してラスボスを倒せば終了という、その最後のステージの始まりという感じです。
もちろんわたくしたちの生活は、一つの物事が終わると次の事が待っているもので、問題が完全になくなるというものではありません。
例えば恋愛であっても、ゴールインという言葉の使われる結婚は、二人で歩む長い人生のスタートになりますし、また逆に失恋という終わりを迎えれば、それは新しい恋へ向かう道のりのスタートになるのです。
一年も半分を終えようとしている今、2012年上半期の総括になるような、そんな新月になるかと思われます。
それにしても今年も、昨年に引き続きいろいろなことの多い年になっていますね。
昨年の震災や水害の後の復興、原子力発電所の問題、解決すべき問題が山積みの今の日本です。
そういった大きな問題が片付かない中で、昨年末からつい先日にかけて、地下鉄サリン事件の逃亡犯が次々と逮捕された件は、忘れようとしても忘れられないあの大事件を思い出させる印象的な出来事でした。
若い人たちの中にはあの事件のことを知らないという人もいらっしゃるでしょうし、知っていても小さい頃だったからよくわからないという人もいらっしゃるでしょう。
事件のあらましについては書籍も出ていますし、インターネットでも調べることができると思いますので、ここでは書きません。
今回は、わたくしはあの事件で中心となった「オウム真理教」という教団名について、少し書いてみたいと思うのです。
誤解のないよう先に述べておきますが、わたくし自身はオウム真理教とは何の関係もありません。また、宗教的な立場としては、きわめて日本人らしい立場の人間です。
ここで言う日本人らしいというのは、お正月には神社へ初詣に行き、お彼岸やお盆にはお寺に参って墓参りもし、ハロウィンにはかぼちゃ柄のパッケージのお菓子を買ってみたり、クリスマスには親しい人々とプレゼントを交換する…、というようなものです。
そんな前置きはどうでもいいんですけどね。
一応念のために。
さて、ここから本題です。
「オウム」というのは、通常「オーム」または「オーン」と発音され、バラモン教ヒンドゥー教などインドを発祥とする宗教においては、聖典であるヴェーダを読誦する前に唱えたり、祈りの言葉の前に唱えられる音です。
これは仏教にも伝わり、日本でも、密教真言の冒頭部分に出てきます。例えば身近なところでは地蔵菩薩真言の「オンカカカビサンマエイソワカ」の最初の「オン」が、この「オーム」にあたるのです。
「そんな真言とか知らんで」とおっしゃる方、お近くのお地蔵様をいくつか回ってごらんになれば、一つくらいは「お地蔵様の真言」として「オンカカカビサンマエイソワカ」と貼紙がしてあったりするのを発見することができるかもしれません。
ではなぜこの「オーム」(密教では「オン」)という音が呪文の前に入るのでしょうか。
それは、この音が宇宙の聖音とされるからです。
この「オーム」という音はアルファベットで表すと「AUM」となります。
サンスクリット語では「a」と「u」が隣り合うと「o」の音になるという法則があるため、「AUM」で「オーム」となります。
この「AUM」のそれぞれの「a」「u」「m」についても、一音ごとに意味があります。
バラモン教では「a」が「リグ・ヴェーダ」、「u」が「サーマ・ヴェーダ」、「m」が「ヤジュル・ヴェーダ」と、三つの大切な聖典を表し、「オーム」全体でブラフマン(宇宙の根本原理)を表すとされます。
またバラモン教から発展したヒンドゥー教では、「a」は維持神ヴィシュヌ、「u」は破壊神シヴァ、「m」は創造神ブラフマーという三柱の神様を表し、全体で三神一体の真理を表わすともされています。
さらに仏教では、「a」は法身(ほっしん)、「u」は報身(ほうじん)、「m」は応身(おうじん)の三身(さんじん)を象徴するとされています。
このように、三つの音からなる「オーム」という音は、古代より聖音とされ、大切に受け継がれてきました。
そして日本でも、真言の一部として、その音を大切な祈りの言葉として使ってきました。
「オーム」というのは、インドを発祥とする宗教の中で、実に大切にされてきた祈りの言葉なのです。
ちなみに、サンスクリット語の祈りの言葉を唱えたりするヨガ教室では、「オーム」というのはおなじみの言葉で、やはりとても大切なものなのです。
かつて日本で初めての薬品によるテロ事件を起こした団体が、その始まりの時期において、この「オーム」という、世界的に多くの人々が大切に思っている言葉をその名前に使いました。この「オウム真理教」という組織やその教祖とされる麻原彰晃が、本当は何を目的にこのような事件を起こしたのか、そもそも団体として何を目指していたのかすらも、きちんと解明されたわけではありません。
さらに悲しいことに、この事件の頃には一般のヨガ教室に疑いの目が向けられ、ごく当たり前に健康と楽しさを求めていた人たちまでもヨガから離れていきました。
わたくしはここでこの団体の批判をするのが目的ではありません。けれど、これだけは言いたいということがあります。
それは、世界中で「オーム」という言葉を聖なる音として日々唱えている人々の多くは、この言葉によって日々の労働の活力を得、家族への愛と感謝を新たにするという、きわめて普通の生活を送る人々なのだということです。
日本では、密教で使われているとはいっても意識していない、知らない人の多い言葉ですから、一連の事件から、誤解が生まれることもあるかもしれません。しかし、一つの言葉の歴史、解釈として、「オーム」というのは怪しいものでも変なものでもなく、多くの人々が古代から唱えてきた大切な祈りの言葉なのだということを知っていただければうれしいなと思うのです。