2012年1月満月「干支のこと、文字のこと」

* 満月情報
あけましておめでとうございます。
今年も「月よ月よのお話」をよろしくお願いいたします。
 
さて、1月9日16時31分巨蟹宮18度26分の満月です。
巨蟹宮は月のふるさとであり、母親、家庭などを象徴します。そこにやはり母なる力、女性性の象徴である月が帰ってきます。そう、月の力が最も強くなるときです。
いろんな場面でやさしさを発揮したい人、家族に愛を示したい人、その願いはすんなりと叶えられるでしょう。
ただ、素直な気持でいればいいだけです。
その他に、この日は海王星土星が作る120度、水星と木星の120度が目立ちます。
海王星宝瓶宮の29度、土星天秤宮の28度。二つとも風の星座にいます。海王星土星も、どちらかというと重い感じの星です。土星は長い時間や制限をあらわす星ですし、海王星は実体のない、それでもわたくしたちを見えない力で支配するような不思議な星です。わたくしたちは今、人と人とのつながり、新しい未来について、もっと積極的に大きな夢を描いてもいいのではないかと、これらの星たちが言っているようです。
長い時間をかけ、誰も見たことのない新しい世界を丁寧に実現していく、そんな力として、わたくしたちを後押しし、次の未来へつないでくれるような、そんな気がします。
海王星は2月に、土星は10月に、次のサインへ移動します。わたくしたちはそれまでに、新しい未来を求めて、できる限りの努力をしようとするでしょう。
そしてもうすぐ、未来を「夢見る」ことは終わります。なぜなら、わたくしたちはその未来の中へ入ってゆくからです。
さて、もう一つのトライン、水星と木星です。
水星が磨羯宮の1度、木星金牛宮の0度と、たいへん若い度数にいます。水星は満月の前日、8日の午後に移動したばかりです。足の速い星ですが、ここでは権威と伝統を背負って、少しばかりいかめしい顔をしています。今まさにお金持ちで気前のいい雰囲気の木星とはとてもウマがあっているようです。
わたくしたちは夢や希望だけでは食べていくことはできません。
まず、地に足を着けて、「生活」をしていかなくてはならないのです。
築き上げてきた地位や仕事、心地よい住まいやおいしい食事。これらを大切にすることで、毎日の生活がより豊かになるという人も多いと思います。
水星と木星のトラインは、そういうあなたを応援してくれるのではないでしょうか。
ところでこの水星は、白羊宮の天王星と90度という少し挑戦的な角度を作っています。
何か新しいことが起こるのでしょうか。
権威的な言葉や伝統に裏打ちされた表現方法と、新しい変革の情熱が出会いがしらの衝突を起こしそうです。きっと素晴らしい何かが生まれる、そんなすてきな予感がしますね。
満月は「満ちる」タイミングです。
成就するタイミングでもあり、スタートの準備が整ったタイミングでもあります。
一年の初めの満月、素晴らしいスタートになりますように。
 
* 干支のこと、文字のこと
今年は壬辰(みずのえたつ)の年。
「辰」は十二支、「壬」は十干、あわせて「干支」として親しんでいる年月日、時刻、方角の表し方です。
十干は「甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)」
十二支は「子丑寅辰巳午未申酉戌亥」
この干支ですが、一番古いものでは、亀の腹や牛の肩甲骨に、占いをおこなった年月日として刻まれたものが残っています。
これらの漢字の一つ一つは、必ずしも具体的な起源と結び付けられたものではないらしく、借りて用いられたものが多いようです。
さらに、わたくしたちはこの十二支に動物を割り当てて使っていますが、この十二支と動物も、もともと関係があるものではなかったのです。一説には庶民が暦を理解しやすいように割りあてたといわれていますが、それもはっきりとはわかっていないようです。
では、いつごろからこの動物が割り当てられたのでしょうか。
現在わかっている一番古い資料は、秦代の雲夢(うんぽう)の「秦簡日書」という文献にある記述です。
「子鼠也、丑牛也、寅虎也、卯兎也、辰(缺)、巳蟲也、午鹿也、未馬也、申環也、酉水也、戌老羊也、亥豕也」
※辰は(缺)となっていますので、欠けていると考えられます。(「缺」は「欠」の旧字体
これが発見されたのは、秦始皇帝と同時代の人のお墓からですから、ずいぶん古い話であることに変わりはありません。
ですから、もともと関係はなかったとはいうものの、これだけ長い間使われてきたのですから、わたくしたちにとってはとても親しみ深いものです。これからも大切に使いたいものですね。
 
さて、この干支は占いの年月日として刻まれていたと書きました。
現代では占いはわたくしたち一般庶民の楽しみとして、あるいは心が疲れたときの励ましとして、とてもポピュラーなものになっています。
しかし古代においては、占いは国を治めるために神様の声を聞くための大切な神事でした。
もちろん、一般の人が気軽に行なうものではなく、統治者や、それに順ずる神職にある人が行なったものなのです。
占いには「命・卜・相」の三つの種類がありますが、亀の腹や牛の肩甲骨に文字を刻んで占うのは、このうちの「卜(ぼく)」にあたります。(「卜」は、この亀甲を用いた占いの際にできる割れ目を表した象形文字です。)
この亀の腹や牛の肩甲骨に刻まれた文字が、現在発見されている漢字の中では最も古いもので、甲骨文字といわれています。
当然、一般の人々にはこれらの文字は知らされることはありませんでした。
そもそも文字というもの自体、人と人とのコミュニケーションではなく、人と神とのコミュニケーションのために、用いられたものなのです。
わたくしたちが現在日本語で使っている文字の源流は、ここにさかのぼります。
わたくしたちの書いている文字は、神様と話すために生まれたものなのです。
日常生活でも、メモを書くとき、伝票を切るときなど、もし思い出せたらこのことを思い出してください。ひょっとしたら、神様があなたの手元を覗きに来てくれるかもしれません。
 
人間が神様と話をしていた時代からあった年の数え方に、いつしか動物が配され、わたくしたちの生活に深く浸透している干支。
さて、今年は辰年です。年賀状に龍の絵を配された方も多いと思います。
中国では皇帝のシンボルですね。
日本では昇り龍など、とても縁起のよいイメージです。
十二支の動物の中で、唯一動物園で見ることのできないものですが、動物園に行かなくてもそこらへんを飛んでいるのをみることができるものでもあります。
この龍のように、今年をとてもよい年にいたしましょう。
わたくしたち一人ひとりの愛の力が、それを実現するのです。
 
《参考》
※「甲骨文字を書く」 佐野光一 天来書院 2011年10月20日
※甲骨文字の写真はこちら↓