2010年9月新月

* 新月情報
9月8日19時31分、乙女座15度41分の新月です。
乙女座の新月ですから、大変にきっちりした、綿密な感じです。
例えて言えば、事を始めるにあたって何一つとして見落とさず、間違いのない完璧な資料を整え、いいスーツを着こなしたビジネスマンが、爽やかに会議室の扉を開ける、そんな感じです。
また、天秤座の火星と水瓶座海王星がきれいなトリン(トライン、120度)ですから、我欲のない、理想に情熱を燃やす状態を想像させます。これ、すごくかっこいい感じですね。
さらに、天秤座金星とクインカンクス(150度)を作るのが、牡羊座木星魚座天王星です。この牡羊座木星魚座天王星はコンジャクション(0度)です。
少し緊張した状態を感じさせますが、しばらくすると星の移動とともに、大きくジャンプできそうな気配です。
この後すぐに起こる変化に備えて足元を固める、またはすでに起こった変化の中で、その状況に自分を合わせていくといった力強い感じがうかがえます。
そんな中で、山羊座冥王星が、天秤座土星牡羊座木星魚座天王星と、それぞれゆるいスクエア(90度)を作っています。夏のカーディナルクライマックスの余韻です。土星木星天王星も、オポジション(180度)といえばそういえますが、かなりゆるいため、影響は少ないでしょう。この夏の大きな動きの余波が少し残っているという感じです。そして、新月とともに新しい冒険が始まります。いえ、新しい冒険の準備が始まるというのが正しいのかもしれません。
星の影響というのは人それぞれです。すでに「何か」が始まっている人、前の事柄をもっと詰めて片付けたい人、皆さんはどちらでしょうか。
 
* イングレス……星座の境目、星の移動
カーディナルクライマックスの余韻をほのかに感じる今回の新月ですが、この夏のように土星木星がきっちりとしたオポジションを作るときが、近いうちにもう一度来ます。それは来年、2011年3月で、土星は天秤座、木星牡羊座と、今年の夏と同じ星座です。そのころには今魚座に戻っている天王星も再度牡羊座に入っていて、新しい時代が始まっています。そのときに起こることは、今年の夏に出会った物事、始めた事柄などです。今年の夏の出来事をよく覚えておいて、楽しみにしたいですね。
さて、今日お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、コンジャクション(0度)として扱っている木星天王星は、違う星座にあります。木星牡羊座で、天王星魚座です。
これらはそれぞれ、隣同士の星座の境目にいて、天王星は、逆行して前の星座に戻ってすぐで、木星は、同じく逆行してこれから前の星座に戻ろうとしているのです。
星が隣の星座に移動することをイングレスといいます。イングレスによって、状況ががらりと変わることもしばしばです。ですから、星座の境目にあるというのは、とてもダイナミックな状態です。
実は今回の新月の日には、この木星天王星だけでなく、星座の境目にいる星がわりに多いのです。
順に見ていきましょう。
星座の刻みは30度ごとですから、29度の次は次の星座の0度です。逆行していればその逆で、0度の次が前の星座の29度になります。その点にご注意ください。
まず、天王星魚座の29度で、となりにある木星牡羊座の0度です。
木星は逆行中ですから、新月の翌日には魚座の29度に移動し、次に順行に戻るのは11月18日で、2011年1月23日にまた牡羊座に入ります。天王星も逆行中で、順行に戻るのが12月5日で、2011年3月12日に牡羊座に入ります。
木星というラッキーな星、天王星という6~7年もの長いスパンで物事を改革する星が境目で逆行しているため、この時期はとても貴重です。
もし今年の夏に素晴らしい変化が訪れて、せっかくスタートを切ったのに、何だかここへ来て足踏み状態という案件をお持ちの方がいらっしゃいましたら、それこそが来年3月の天王星の移動とともに始まる新しい時代のテーマです。
また、この天王星木星と今はゆるいスクエアを作っている冥王星も、山羊座の2度と、生まれたばかりの様相です。冥王星が完全に山羊座に移動したのは2008年の終わりごろです。冥王星は2023年から2024年にかけて水瓶座への移動をおこなうまでの間、ずっと山羊座に滞在しますから、山羊座に入って2年近く経つといっても、今は長いひとつの時代の幕開けのようなものです。個人の運命に大きく影響を及ぼすというより、これから20年間の時代背景の底に流れるものに影響を与えると考えたほうがいいでしょう。
次に金星を見てみます。新月の日の金星は天秤座の29度で、天王星木星クインカンクス(150度)を作っています。木星のイングレスのおよそ半日前、9日零時46分ごろに蠍座に入ります。金星は一日に1度程度移動しますが、1年か2年に一度くらい、大きな逆行をして、ひとつの星座のあたりに三ヶ月から半年くらい滞在します。今回の長期滞在先はこの蠍座です。木星魚座に戻るのとほぼ同じ時期にこの金星が蠍座に入ります。どうも、お金の出入りの多そうな期間になりますが、蠍座生まれのかたがたにとっては、特に素晴らしい時期になりそうです。これは近いうちにぜひ別に書きましょう。
この日、火星の位置も天秤座の25度と金星に近い場所にあり、金星に遅れること約一週間、15日の朝に蠍座に移動します。
火星は蠍座にとっては前の家主さんのようなものです。(今の家主さんは冥王星です。)火星は蠍座にいるとき、天秤座にいるよりもずっと元気が出ます。8月以来ぱっとしなかった物事は、このあたりを境に動きやすくなります。
さらに、土星もまた、天秤座の初めのほうにいます。2009年の10月から乙女座との間を行きつ戻りつしていましたが、とうとう7月に天秤座に完全に移動しました。これから約2年間、土星は天秤座で威力を発揮します。完全に移動してからまだ間もないのですが、すっかり準備は整っているという感じです。多くの方が、パートナーとの関係をじっくり見直したり、バランスのとれた生活を送ることに心を砕くことになるでしょう。恋人や配偶者、仕事でのパートナーへの感謝を新たにするときです。特に天秤座生まれの方は、あらゆることについて、今こそ人から見えない努力を重ねて成長するチャンスです。2年後はどんなふうになっているでしょうか。大変楽しみですね。
そして、水星が乙女座の6度で逆行中です。これも一日に一度という早いスピードで動く星ですが、13日で逆行が終了するため、10日間ほど、5度~7度付近にいます。ちょうど動きが止まっている状態ですね。木星、金星のイングレスに続いて水星の逆行が終了し、続いて火星のイングレスと、8日の新月から約一週間で、ものすごく大きく状況が変化するというふうに読めます。
ここで、この一週間を簡単にまとめます。
逆行して星座移動する星が木星で、一度戻って足元固めをする感じ。
順行して移動するのが金星と火星で、あたらしい境地に踏み込む感じ。
順行逆行を繰り返して、すでに少し前から星座の初めのほうにいるのが水星と冥王星で、すでにスタートをきって、軌道に乗り始めている感じ。
やはり順行逆行を繰り返して、星座の終わりのほうにいるのが天王星海王星で、今まさに、後片付けの真っ最中という感じ。
そんなふうに大まかに捉えていただけばよいかと思います。
さて、今日出てこなかった星が二つだけあります。
そうです。太陽と月です。新月ですから、これらの星は同じ位置にあります。乙女座の15度付近です。
新しいスタートを暗示する新月を作り出す二つの星だけが、星座のちょうど真ん中に位置しています。なんだか複雑ですね。でも、ゆるぎないという感じがします。もう後へは戻れないぞという感じなのです。
ここまで見てきましたように、この新月は、「新しい旅の準備」の始まりです。これまでの間に、さまざまな紆余曲折(忘れ物も取りに帰ったし、迷子になったけど下見もできたし)がありました。「飛ぶ鳥あとを濁さず」です。今は最後の後片付けと、次の旅への体力づくりのときです。
来年の3月、天王星が12星座のスタートの牡羊座に移動したら、ぐるりと一回りするのに、生きて出会える人はいったいどのくらいでしょう。
天王星が次に魚座に入るのは、2087年、今から77年後です。
この長い旅のための準備の、その始まりが、この新月なのです。
わたくしたちの日々おこなっていることは、こうして連続した時の流れの中のひとつです。どんな小さなことも、次におこなわれることの準備になります。ひとつのことが終わって、その上に新しいことが積み重なる。イングレスはそういう積み重ねがおこなわれる瞬間ともいえます。
イングレスの直前、多くの星はボイドになります。時の積み重ねの瞬間の空白です。これは近々別に説明しますが、このような空白と移動を重ねて、わたくしたちは研かれ、成長していきます。
どうか皆様が大きな喜びを持って、これらの星の移動を迎えられますように。
明日の新月がより良い旅の素晴らしいスタートとなりますように。