1000円

高速道路が1000円だというので、大阪から宇都宮まで往復した。

夫の実家が宇都宮なのだが、彼は仕事の都合でなかなか帰省できない。
たいていは夏休みなんかにわたくし一人で帰る。

今回はうまく休みが取れたので、夫の運転でいざ宇都宮へ。

それにしても遠かった。片道12時間かかった。

運転するのは夫なのだが、助手席に座っているわたくしも結構忙しい。

ナビと地図を見比べたり、お茶を飲んだり、歌を歌ったり、やることはたくさんある。



高速道路というのはなかなか面白いところだ。

何が面白いといって、自然が満載なのだ。

季節柄、道路の走っている山中のいたるところに野生の藤が花を咲かせている。

街中では藤棚を作ってそこにつるを這わせるのだが、野生の藤は高い木につるを巻きつけながら伸び、その木の形に花房を大量にぶら下げている。

落ち着いた紫が、しっとりと華やかだ。

また、ニセアカシアの花もたくさん咲いていた。

白くかわいらしい花房が風に揺れてとても可憐だった。


残念なことに車があまり渋滞しなかったため、花々のきれいな写真は取れなかった。


時々、途中で地図を眺めて遊んでいると、

「おい、地図なんか見てる場合じゃねえぞ。景色を見ろ。」

と夫が言う。

深い山の緑が、それはそれは美しかった。



行きは比較的晴れていたが、帰りは雨だった。

山に雲がかかって、それは幽玄な美しさだった。

昔の人が、山には神様が住むと信じたのもうなずける。

ちなみにわたくしは神様はどこにでも住んでると思っている。

山にも、海にも、我が家のコーヒーポットの中にも住んでいる。

どこにでも住んでいるが、山や大きな神社に行くと、確かにそこは神様のテリトリーだという気がする。

でも、実は我が家のベランダも台所もみんな神様のテリトリーなんだけれど。

なんて書き始めたらまた大変なことになるのでやめよう。

今日は高速道路が楽しかった話だけにしよう。



それにしても、1000円プラス首都高その他で計算したら、片道2000円強だった。でもそれで12時間も楽しめたのだからすごい。


帰ってきて夫がビールを飲みながら、「面白かったな」としみじみ言った。

本当に面白かった。