2009年10月新月

* 新月情報
10月18日14時34分天秤座24度59分の新月です。
この前日には火星が獅子座に入ります。そして来年の6月7日15時ごろに乙女座に入るまで、一度大きく逆行しながら、獅子座に留まります。
誰もがこれから半年以上の月日をかけて、情熱的に何かを追いかけていくことになりそうですが、この新月は、そのスタートとしてふさわしい日になるのではないでしょうか。

とは言うものの、星空からの影響の受けかたは人によって異なります。
もうすでに来年上半期の準備に入っている方もいらっしゃるでしょうし、この数日で状況が様変わりして走り回っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。(自分がそうなのでそう思うのですが…)

さらに今月30日には土星も天秤座入りします。ここから2012年10月6日午前5時半ごろまでの約3年間、土星は天秤座にいます。
今回の新月はこの天秤座で起こりますから、今年の秋から3年間くらいの長いスパンで考えられるテーマを、この新月の日にスタートさせる、あるいは決意する、というのがなかなかいい感じなのではないでしょうか。

* 凶星と呼ばれる星たち
この新月のときに注目すべき星は、上記のように火星と土星です。
これらはどちらも古くから「凶星」、「マレフィック」と呼ばれています。
これに対して金星や木星は「吉星」、「ベネフィック」といいます。
物事を吉凶で分けてしまうと話は簡単ですが、そう簡単にはいかないのが人生というものです。
今回は、これからおよそ8ヶ月間の火星、3年間の土星、それぞれの恩恵をたっぷり受けるために、その傾向と対策を書いてみたいと思います。

火星は太陽系では地球のすぐ外側にある星です。地球から見ると、たいへん不規則な動き方をします。地球に近づくと赤い輝きを増し、古来、戦争や災害を表す星とされてきました。
ギリシャ神話ではアレース、無分別で野蛮な戦いの神です。ギリシャ叙事詩ホメーロス」では、実直な夫を持つアフロディーテの浮気相手として描かれています。
ローマ神話ではマルスという名で、雄々しく勇敢な戦いの神とされ、愛と美の女神ビーナスの恋人です。
火星は男性的な力、外へ向かう積極性や活動性を表わします。
この星がめぐってくれば、活動的になり、勢いが増します。
上手に使えばどんな困難をも物ともしない素晴らしい力になりますし、野放しにすれば粗野で攻撃的な言動を引き起こし、周囲との衝突や事故につながります。

土星はキュートな輪を持つ、見た目にはとてもかわいい星です。最近この輪の外に、もっと大きな輪があることが発見されて話題になりました。
現代の占星術の基礎が出来上がったとされるギリシャ時代には、人々が認識する太陽系の星々ではこの土星が最も遠い星でした。ですから土星は、この世の果て、人間の左右できない「時間」をつかさどるとされました。ギリシャ神話では時の神クロノスであり、最高神ゼウス(木星)の父であるティターン族のクロノスと同一視されています。
ローマ神話では農業神サトゥルヌスにあたります。
ティターンのクロノスは、父であるウラヌス(天王星)を殺して王位につきますが、その後、わが子のゼウスに底なし穴のタルタロスに閉じ込められてしまいます。その後ゼウスはギリシャ最高神として君臨します。
この神話を見ると、父を殺し、その後息子に殺されたクロノスの存在は、情け容赦ない時代の流れ、逆らえない運命の力を感じさせます。
まだその外側の星が発見されなかった古代の人々は、人知の及ばない恐ろしいことは全て土星が支配していると考え、最高神ゼウスの父、クロノスの名をつけたのでしょうか。
この土星は「時間」や「制限」を担当する星です。
収穫までに時間のかかる農業や、鉱物など土から掘り出されるものに関する事柄は土星の守備範囲にあります。また忍耐力や責任や規範的な行動など、社会人の資格として大切にされる事柄を扱うのもこの土星です。
面白いことに、出生ホロスコープで、この土星が娯楽と恋愛を扱う部屋である第5室にある人は、芸術的な事柄に才能を示すことが多いといわれます。
喜びごとや遊びごとにこつこつとした努力が加わると、すばらしい芸術に発展するのでしょうか。
この星は上手に扱えば、努力する力と耐える力を無制限に与えてくれます。この星の力を借りると、どんなに重い責任、厳しい仕事を与えられても、それを立派にやり遂げる力があたえられるのです。
反対に、この星に与えられる試練をいたずらに怖がり、前向きになることをせず逃げてばかりいると、成長もなく、その後に得られる幸運の大きさも限られます。
土星は、たくさんの課題を与えて成長させてくれる教師であり、幸運を受け取るための器を大きく広げさせてくれる厳しいコーチなのです。

さて、火星と土星について簡単にご説明いたしましたが、ではこのそれぞれの星がこの10月から、みなさまにとってどのような場面で力を発揮してくれるのでしょうか。
占星術では人の運命を大きく12種類に分けて、天空を分けた12の部屋にそれぞれ振り分けています。それぞれの部屋にはそれぞれの星座が割り当てられ、その人のそれぞれの運命がどのような傾向になるかを方向付けます。
どの部屋がどのような運命を扱うのか、またその運命がどのような方向付けがなされるのかは人によって違い、それを決める方法もさまざまです。ここでは最もシンプルな方法をご紹介します。

まず12星座の順番を確認します。そして、生まれたときの太陽のある星座、つまり「わたしは○○座」と雑誌の占いを見るときの星座を1番として、順番に12番まで部屋番号を打っていきます。これで、12の部屋の割り当てが決まりました。
星座の順番は次のとおりです。魚座まで行ったら次はまた牡羊座に帰り、ぐるぐる回ることになります。

牡羊座 牡牛座 双子座 蟹座 獅子座 乙女座 天秤座 蠍座 射手座 山羊座 水瓶座 魚座

牡羊座生まれの方は牡羊座を、牡牛座生まれの方は牡牛座をそれぞれ1番としてください。
1番から12番まで番号をつけたら、獅子座と天秤座がそれぞれ何番目になるかを確認してください。牡羊座の方にとっては、獅子座は5番目、天秤座は7番目になりますし、牡牛座の方にとっては、獅子座は4番目、天秤座は6番目になります。
獅子座は向こう8ヶ月間火星が活躍し、天秤座はこの10月末から3年間土星が活躍する場所です。
これらの星座にどの番号が振られているかを確認したら、下の一覧でその番号が表わす事柄を見てください。それらが、これから火星と土星の活躍する事柄です。

 1.本人、本人自身のキャラクター、資質
 2.金運、収入源(自分で動かせるお金)
 3.国内旅行、通信、兄弟姉妹、隣人、教育(小・中・高)
 4.家庭、遺伝、母親(または異性の親)
 5.子ども、恋愛、娯楽
 6.労働、病気、雇用関係
 7.結婚、共同事業、訴訟、ライバル
 8.遺言、遺産(自分で動かせないお金)、死、セックス
 9.哲学、宗教、海外旅行、高等教育(大学、大学院)
10.職業(転職)、履歴、名誉、父親(または同性の親)
11.友人、希望、養子
12.秘密、隠れた敵、犠牲、退職


ここでいくつか大切なことをあげておきます。

ここに書かれた分類は、その人の状況により関連性が多少変化します。家で仕事をしている人は家庭と職場が同じ場所ですし、お友達と起業したという方は、仕事と友人の両方の状況を絡めて見なければなりません。これはある程度ご自分でお考えください。

また、それぞれの部屋で火星と土星がどのようにはたらくかは、あなた自身がデザインすることです。例えば乙女座生まれの方は、2番目のお部屋に土星が入ります。「手元のお金の動きが制限される」というふうに読めます。これを短絡的に「お金に困る」と読まずに、「忍耐強く無駄遣いを抑える」と読めば、たとえこの間の収入が減っても、3年後にはちょっとした貯金ができているのではないでしょうか。
また第5室に土星がやってきて、恋愛に制限がかかり、デートもままならなくなるのではないかという心配をしている双子座さんは、この時期が頑張り時です。恋人との地味な交流を重ねることで、後の発展につながります。シングルの方は恋愛よりも婚活。2012年の秋に土星が第5室から出る頃には、双子座さんのウェディングベルが聞こえるのではないかと楽しみです。

また火星が回ってきたところでは、そこで事故や衝突が起こると考えるのではなく、今まで「あと一歩」が踏み出せなかった方が前に進むチャンスだと捉えるほうがいいでしょう。
例えば乙女座さんにとっては、獅子座は12番のお部屋になります。ここに火星が入ることで、無自覚な状態でいると、いたずらにコンプレックスが刺激されたり、隠しておきたいことが暴露されたりということが起こる可能性もありますが、逆に、ご自分のコンプレックスをとことん見つめ、目を背けていたかった弱みを克服するチャンスにもなりますし、周囲に秘密にしていたことを明らかにして公に認めてもらえるように運ぶこともできます。

このように、「ものはとりよう」です。
土星が回ってきたところでは、3年後の成長を楽しみにすることで、我慢のしがいもあるというもの。火星がめぐってきたところでは、その問題と向き合い、積極的に解消する姿勢を保つことで前に進む勇気がわくでしょう。
またこの時期、それぞれの火星の回ってきたお部屋に関することで「イラッ」とくることがあっても、「これは火星のせいだから」と少し冷静になったほうがいいですね。爆発させると軍神アレースの思う壺です。アクション映画でも見て発散させましょう。


火星も土星も、占星術のテキストではマレフィック(凶星)に分類されています。しかし、どんなに暴れ者でも、どんなに厳しくて怖い先生でも、恐れることはありません。
適切に対応し、自分自身を丁寧に生きることで、それらは強い味方になるのです。
暴れ者は勇猛な戦士に、怖い先生はありがたい恩師に、それぞれその素晴らしい横顔を見せてくれるのです。
どうか皆様、これからの8ヶ月、そして3年、火星と土星の恩恵をたっぷり受けられ、素晴らしい成長を遂げられますように。